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鶴田伊津歌集「百年の眠り」

 短歌人の結社誌を購読するようになって、惹かれた鶴田伊津氏の歌集を購入した。佐伯裕子、大松達知、小池 光の各氏がしおり文を書いている。まず、三氏が選んで評をしている歌から何首か。

 「くたくたのくうだ」とこぼしたる愚痴は猫のあくびに飲み込まれたり

 ああそうかわたしは泣きたかったのだ 布団ふわりと子にかけてやりつつ

 くちごもる君は樫の木あいまいな我の視線を拒みておりぬ

 押しボタン信号だとは気づかずにただ待っていたようだ あなたを


第一印象…触覚などの身体感覚がすぐれた人だと感じた。そして、それを掬いとるすくいとり方もうまいと思う。

 君の名をつぶやくたびに胸の中繰り返されるイルカのジャンプ

 コンパスの軸となりたる人を得て我は円しかかけなくなりぬ

 ひるがえりひるがえりしてゆくつばめ春の手紙と思いて見おり

 ブロッコリーぐらりぐらりとゆでながら失うことに臆病になる

 貝殻に耳押しあてることもなく耳のひろえぬ音を思えり 

 わが顔は二枚の耳にはさまれて缶コーヒーを不器用に飲む

 言いたいことをすべて吐き出したるのちの吾は座礁せし船のマストだ


表題の「百年の眠り」の一連から何首かをひろってみる。

 百年の眠りがほしい誰からも傷つけられず傷つけもせず

 ころがりてわたしの足をかすめたる生茶の缶に心添わせる

 入道雲のへりを目指して坂上がる一人の孤独二人の孤独

 スカートの裾にまつわる風を連れ次の季節にむかわんとする

ふるさとを遠く離れて、相聞の歌、仕事場の歌、父母とのやりとり、子とのやりとりなど、悩みをとりあげた歌もあるのだが、基本的にどの歌も色調は明るく安定感があるように感じられる。熊野の自然に育まれ、大地にしっかりと根付いた植物のようなたましいを持った人なのだろうと思った。
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コメント

makoさん、いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
なかなか、そんなに歌集の紹介などできないとは思いますが、そういうことができたらまたご案内します。

こんばんは

肩に力が入っていない、おおらかな方なのだなという印象を受けました。

>押しボタン信号だとは気づかずにただ待っていたようだ あなたを

いい比喩ですね。
こちらから訴えかけなければ何も返ってこない関係がよく表現されていると思います。

>コンパスの軸となりたる人を得て我は円しかかけなくなりぬ

このお歌も、コンパスと比喩したからこそよく心象が分かると思います。

>スカートの裾にまつわる風を連れ次の季節にむかわんとする

風とは、いろいろなひとやことなのでしょうね。
難解な言葉など使わず、伸びやかに歌われているところにとても好印象を受けます。


いい歌集をご紹介いただいて、ありがとうございます^^
また私の知らない歌集にやねうらねこさんのところでお逢いできることを楽しみにしています。

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