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やねうらねこ

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201106_柿の葉1
高空に音のきえゆき消えのこる時間(とき)ふくふくと照らす柿の葉

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どこまでもころがりゆきてくさむらにゆくへしれずのちひさき光
201125ゆうやけ

 知人のもえぞうさんのお気に入りということをお聞きして、読んでみたくなった。
第12歌集とのこと。印象に残った歌をピックアップしてみた。


回遊魚のやうな文庫のコーナーをかかはりもなく行き過ぐるなり

暁の青信号の中の人許す許すと言ひゐるものを

煉瓦坂に小さく躓き月光とネオンと闇を攪拌したり

拡大鏡で見ればおそろしきことならむ蟻をつぶしてゐる昼さがり

忽然と郵便局建ちこの街のあまたの言葉羽搏きて発つ

ねむの樹をこぼれし種子は年月をかけねむの木となりて世を見む

記憶より遠き光やパピルスはこぶしを握るやうに枯れをり

次々に子を発たせたるがらんどうの母のやうなる駅の夕焼

六万三千羽の雁のシベリアに発ちしところ底なしの青つつぬけの空

どのあたりに座るわたしか片側のみ陽のさんさんとさしてゆくバス

風といふ一字を車体に描きたるトラックがわれらを追ひ越してゆく

いざなはれ伴はれゐる心地する誰も居らねば春といふべく

わが秘むる感覚ひとつ足下(あうら)より次第に樹になる遂に樹になる

紙よりも薄きあやふさ昼顔のはなびらを打つ雷雨となれり

身を包みてありし着物は畳まれてただに平たき布となりたり

 
ああ、この方は自由なつばさをもって羽ばたいていると感じた。
写真は2~3日前の夕暮れ…絵のような夕焼け雲だった。
とりあへず救ひがひとつ明日は晴れふたりならんでゆふやけをみる
小さき手をひらかせなぞるゆきの字に沫雪こんこ 思ひ出こんこ
晩秋に影として佇つ裸ん坊 もみぢ葉土へかへりしのちを
種明かしさるるのはいつのぞき込むTV画面の奥ほの暗し
鳥のやうにつばさもつものやさしさは闇夜にまぎれ耳朶なぞりゆく

船  《風と戯る》

風にねぢ巻きあげてゐるgの音 あるとき船は空をとらへむ

g(ジー)…重力
鶴田伊津歌集「百年の眠り」

 短歌人の結社誌を購読するようになって、惹かれた鶴田伊津氏の歌集を購入した。佐伯裕子、大松達知、小池 光の各氏がしおり文を書いている。まず、三氏が選んで評をしている歌から何首か。

 「くたくたのくうだ」とこぼしたる愚痴は猫のあくびに飲み込まれたり

 ああそうかわたしは泣きたかったのだ 布団ふわりと子にかけてやりつつ

 くちごもる君は樫の木あいまいな我の視線を拒みておりぬ

 押しボタン信号だとは気づかずにただ待っていたようだ あなたを


第一印象…触覚などの身体感覚がすぐれた人だと感じた。そして、それを掬いとるすくいとり方もうまいと思う。

 君の名をつぶやくたびに胸の中繰り返されるイルカのジャンプ

 コンパスの軸となりたる人を得て我は円しかかけなくなりぬ

 ひるがえりひるがえりしてゆくつばめ春の手紙と思いて見おり

 ブロッコリーぐらりぐらりとゆでながら失うことに臆病になる

 貝殻に耳押しあてることもなく耳のひろえぬ音を思えり 

 わが顔は二枚の耳にはさまれて缶コーヒーを不器用に飲む

 言いたいことをすべて吐き出したるのちの吾は座礁せし船のマストだ


表題の「百年の眠り」の一連から何首かをひろってみる。

 百年の眠りがほしい誰からも傷つけられず傷つけもせず

 ころがりてわたしの足をかすめたる生茶の缶に心添わせる

 入道雲のへりを目指して坂上がる一人の孤独二人の孤独

 スカートの裾にまつわる風を連れ次の季節にむかわんとする

ふるさとを遠く離れて、相聞の歌、仕事場の歌、父母とのやりとり、子とのやりとりなど、悩みをとりあげた歌もあるのだが、基本的にどの歌も色調は明るく安定感があるように感じられる。熊野の自然に育まれ、大地にしっかりと根付いた植物のようなたましいを持った人なのだろうと思った。
待つ夢を待たるる夢をハルシオン見せておぼろの秋深みゆく
青空の銀杏はかぜにはじかれてわーぷののちにコンと現はる
奥つ城の朝はひんやり濡れてゐる秋さくら葉の散り敷く小径

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